コラム

介護の始まるきっかけだった認知症の症状とその特徴とは

超高齢社会の日本において大きな問題の一つとして挙げられる認知症。

 

介護が始まるきっかけともいわれていますが、その特徴や治療方法、介護する際の対応方法などについて解説していきます。

 

認知症は疾患名ではない

 実は認知症という疾患名があるのではなく、特定の状態や症状の総称で、生活が困難になる状態の総称です。

 

脳細胞の死滅などで認知機能に障害が起き、理解力や判断力、記憶の消失などにも大きく影響します。

 

認知症を引き起こす原因や発症までの過程により「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」などの種類に分かれます。

 

認知症の種類は3つ

三大認知症と呼ばれる「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」ですが、それぞれ次のような症状や特徴が見られます。

 

 

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)

アルツハイマー型認知症は認知症の中でも最も多く見られ、全体の半数以上を占めているとも言われています。

 

記憶障害の他、時間や場所などの認識機能の低下、計画を立てたり実行することなどが難しくなるといった症状が見られますが、これらの症状が一律で出てくるわけでもありません。

 

 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多く見られ、記憶障害・実行機能障害・見当識障害などが主に症状としてみられます。他にも薬剤への過敏症やパーキンソン症状、自律神経症状なども症状の1つです。

 

初期は認知機能の低下よりも、パーキンソン症候群特有の症状である手足の震えなどがあらわれることが多いとされています。

 

 

脳血管性認知症

脳卒中などを原因とした脳の血管の不具合により脳血管障害が発生しますが、この障害によって脳細胞が死滅し発症するのが脳血管性認知症と呼んでいます。

 

症状として多いのは記憶障害や見当識障害などですが、脳細胞が損傷した部分により身体麻痺や言語障害を伴うこともあります。

 

 

認知症と診断されるまでの流れ

認知症の診断は、どの認知症に該当するのか、進行度合いなどを判定し行われます。

 

面談・身体検査・認知症検査のなど複数の検査を実施した上で診断されることとなります。

 

 

①面談…本人やその家族から、過去の病歴や今の身体状態が確認されます。

②身体検査…尿検査や血液検査など一般的な身体検査が実施され、他の疾患の可能性の有無も確認されます。

③認知症検査…問診によるCTやMRIによる脳画像検査と、日付や記憶による質問や単純計算・作業を行う神経心理学検査が実施されます。

 

認知症に治療方法はあるのか

現在、認知症が進行してしまうことを完全に止める方法も、症状を改善させる根本的な治療方法もみつかっていません。

 

ただ、できるだけ進行を緩やかにすることは可能であり、クオリティオブライフ(生活の質)を向上させることはできます。

 

そのために用いられるのが、薬物治療と非薬物療法の2つです。

 

 

薬物療法

中核症状の進行をできるだけ抑えるために認知機能改善薬を用いるケース、そして行動・心理症状を軽減させるために向精神薬や睡眠薬を使うケースがあります。

 

薬物療法は症状により処方される薬が変わることが特徴です。

 

 

非薬物治療

薬物を使用せず、脳トレやゲームなどで考える力を養うことや、洗濯や料理など生活リハビリを兼ねて行うのが非薬物治療です。

 

生活の質を向上させる面では、薬物療法以上の効果が期待できるといえます。

 

昔から好きで続けていた趣味活動などに集中することで、不安を感じず自分らしい時間を過ごすこともできるでしょう。

 

他にも回想法や音楽療法、園芸療法などが非薬物治療として行われることがあります。

 

認知症であらわれる行動とは

認知症になると、具体的にどのような言動や行動が見られるようになるかについても把握しておきましょう。

 

認知症の方には、「部屋のモノやお金を盗まれた」「自分の悪口をいっている」など、被害妄想のある方もいます。

 

被害妄想の多くは不満などを抱えていることが多く、現状に対する抗議や助けを求めている意味を含むこともあるため、無意識に身近な人に訴えようとその人を加害者にしてしまうこともあるため注意しましょう。

 

また、徘徊も認知症で見られる行動の1つですが、何の目的もなくただ知らない間に抜け出すのではなく、本人にとっては何らかの理由や目的もあることがほとんどのようです。

 

目的があって歩き続けることから、「歩き回り」や「ひとり歩き」といった言い換えが適切ではないかという考えもあるようです。

 

そして暴力や暴言も認知症の言動として挙げられますが、その要因は様々であり、複数の要因が重なっていることが多いといえます。

 

感情をうまくコントロールできないケースや、不安を感じ混乱しているなど原因はいろいろでしょうが、暴言や暴力に対し力や言葉で対抗することは避けてください。

 

抑えつけや叱りつけは改善させることはできず、むしろ逆効果です。日頃のコミュニケーションから、本人が不安を募らせることのないように丁寧に繰り返し伝えていくことが必要といえます。

 

否定や自尊心を傷つける言葉は使わないといった配慮も必要となるでしょう。

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