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介護現場で上手くできない移乗の悩み!スムーズに成功させるコツとは?

介護現場では、利用者を車椅子からベッドに移動させるという移乗が必要になる場面があります。利用者と介護スタッフ、どちらにも身体的な負担がかからないようにするためには、正しい姿勢を保ちながら上手く力をかけ、声掛けなどに工夫して行うことが必要となるでしょう。

 

そこで、車椅子を使用する利用者に対し、どのように移乗を行えばよいのかその方法や注意したいポイントをご説明します。

 

移乗は1日に何度も必要

起き上がりや移乗などの介助は、介護スタッフは前かがみの姿勢になるので腰への負担が大きくかかりがちです。腰痛などで悩まされる介護スタッフが多いのは、利用者を介助する際に無理な姿勢で腰に対する負担が強くかかるからともいえます。

 

ただ、利用者が歩いて移動できない場合など車椅子が必要になり、利用者に自力で移乗してもらうことに不安があるのなら、やはり介護スタッフが人力で手伝わなければならなくなってしまいます。

 

ただ、この移乗の際には事故が起きやすくなることが多いので、1日の中で何度か必要になる介助だからこそ、その手順や上手く行うコツなどを掴んでおく必要があります。

 

移乗介助を行う手順とコツ

車椅子からベッドへの移乗を行う時には、できるだけ車椅子はベッド側に寄せておくことが必要です。ベッドサイドと車椅子が平行になるような位置まで車椅子を寄せて、車椅子のブレーキはしっかりかけておきましょう。

 

また、移乗の際に車椅子が動いてしまわないよう、フットレストを上げておきます。

 

利用者の腰や背中に腕を回し、利用者は介護スタッフの方に手を置いてもらうように促します。車椅子に座った状態の利用者の上半身を引き寄せ、体を密着させた状態で体を預けてもらうようにしてください。

 

ここでのポイントは、上に引き上げようとするのではなく、前に引き寄せようにすること。それによって利用者も自然と立ち上がりやすくなるはずです。

 

足をしっかりと開いて、利用者の両足を自分の足の間に入れ、利用者の足を軸にしながらベッドに移動させます。

 

 

移乗の際に特に注意したいポイント

もし介護現場で利用者の移乗がうまくいかないと感じる場合には、次のポイントを確認するようにしてみましょう。何かヒントが見つかるかもしれません。

 

腕の力だけで上に持ち上げない

腕力だけで利用者を上に持ち上げようとしてしまうと、体勢が崩れベッドなどに倒れ込む形になったり、転倒や骨折などの事故が起きやすくなります。

 

できるだけ利用者に残された力を最大限使うようにし、前かがみやそりすぎない姿勢で腰への負担に注意しながら移乗させるようにしてください。

 

立ち上がりが上手くできないなら

利用者が自力で立ち上がり車椅子に移乗しようとする時、なかなか立ち上がれず途中で諦めてしまう…といったこともあるようです。

 

この場合、ベッドを立ち上がりやすい高さに調整してあげましょう。膝下の長さより少し高めの位置なら立ち上がりやすくなります。

 

スイングアームは45度にし、膝をパッドにあてながら上肢でグリップ部をひきつけるようにすると腰が上がりやすくなります。

 

この時、グリップが固定されていないと転倒してしまったり、手を挟むといった事故が起きてしまいますので、必ずロックされているか確認した上で行うようにしてください。

 

ベッドに腰を下ろす際はゆっくりと

ベッドに移り腰を下ろそうとする時に、勢いよく座ると腰椎圧迫骨折を起こす危険性があります。安全を確認しながらゆっくり座るように促しましょう。

 

利用者に残されている能力を引き出しながら

どの介助を行う場合でも、すべて介護スタッフの力で行うのではなく、利用者に残っている能力を引き出すようにすることも大切です。

 

移乗の時にも利用者の軸足をうまく使うなどで、筋力維持のリハビリにも繋がりますし、本人の自信にも繋げることができるでしょう。

 

まだ利用者ができる部分まで介護スタッフが手をかしてしまうと、筋力を低下させ介護レベルが進んでしまう可能性もあります。

 

介護スタッフの身体にかかる負担も軽減させることになるので、できる部分は自分で行ってもらうことを基本としてください。

 

車椅子の点検は事前に行っておくこと

利用者の移動に欠かせない車椅子に不具合が起きていないか、日々、点検などチェック作業は欠かず行いましょう。

壊れている部分はないか、異音がしたり左右にガタガタと揺れたりする部分はないか確認していきます。

 

実際に車椅子に座ってみて、座り心地はどうか確認しながらクッションやマットを利用するなど、利用者が気持ち良く座れる状態に整えておきます。

 

さらに忘れてはならないのがブレーキです。停車する際にブレーキがきかないと事故に繋がりやすくなりますので、ブレーキのききの確認を行い、ききが悪いと感じる場合にはタイヤやワイヤーなどの点検や整備を行うようにしてください。

 

タイヤはまっすぐ進み歪みなどは生じていないか、空気圧に問題はないかといった部分も確認しておく必要があります。

 

利用者を移乗させる時には事故が起きないように注意を

介護現場で利用者を移乗させる時には、転倒などの事故が起きやすく、利用者だけでなく介護スタッフもケガを負う可能性があります。

 

そのため、できるだけスムーズに移乗を完了させるために、介護スタッフと利用者がうまく息を合わせながら行うこと、利用者の残された能力を最大限に利用すること、ベッドや車椅子の状態を確認することなど忘れず行いましょう。

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