コラム

介護者はストレスによる介護うつや介護疲れという状況に陥りやすい?

それまで元気だった方が、疾患などを原因として介護が必要になることもあります。これまでの生活と一変、介護を必要とする本人だけでなく、その家族も何をすればよいかわからず不安を抱えたり、それまで通り仕事を続けることが難しくなったりなど、心身共に負担を抱えてしまうのは無理もありません。

 

日々介護を行うことが必要になれば、身体や精神にかかる負担も重くなるのでストレスを抱えやすくなってしまうわけですが、家族や親族間で協力できる体制が構築されていたり、近所の方や地域の方に助けてもらえるならまだ救われます。

 

しかし近年では核家族化が進み、近所付き合いや地域との交流も薄れている社会が進んでいるので、助けがほしいと思っても孤立してしまいやすい状況です。

 

それまで表面化されていなかった家族の問題が浮きぼりに?

さらに介護が必要になった家族の存在をきっかけとして、それまでは表面化されていなかった家族間の問題などが出てくることもあります。

 

様々な問題が起きてしまいやすい介護という問題ですが、介護を行う方の体や心のバランスがだんだんと崩れ始め精神的に追い詰められることもあり、溜まりに溜まったストレスが「介護うつ」や「介護放棄」といった危機的な状況へと追い詰めていくのです。

 

メディアなどで報道されることの多い、「介護殺人」という痛ましい事件にまで発展してしまうこともあるので、逃げ場がない状況で介護生活を送る方が増やさないことが大切といえます。

 

介護疲れは誰もがそのリスクを抱えている

介護によって身体的・精神的な負担、認知症などへの対応、経済的な問題など、いろいろな要因が複雑に絡み合い誰にでも起きる可能性があるのが「介護疲れ」です。

 

そこで、それぞれの要因について、介護を行う方がどのような負担を抱えることになるのか、その内容を把握しておきましょう。

 

身体的負担

要介護者に対する毎日の起床における介助から始まり、移動介助、体位介助、衣服の着脱やトイレ、入浴、食事など、様々な介助の場面で何度も身体を持ち上げ支える行為が必要になるため、腰やひざ、腕などに過度な負担がかかりがちです。

 

また、夜中に何度も排泄のためにトイレへの移動が必要となったり、おむつ交換に起こされるといったことで睡眠を取ることができないといった問題もあります。

 

精神的負担

家族の中に介護を必要とする方が出てくると、家族や親族、介護サービスを提供するスタッフとの関係、地域や行政など様々な人と関わる機会が増えることもあります。

 

ただ、それらの人間関係が上手くいかなかったり、介護者が煩わしく感じてしまうことで一人で介護に対する問題を抱え込んでしまい、自分で何とかしなければと孤独感を深めた状態で解決しようとしてしまいがちです。

 

その中で、要介護者との意思疎通が上手くいかなかったり、要介護者の言動に腹を立ててしまったりしてしまい、結果、自己嫌悪に陥るといったことも多くなります。

 

家族や親族から協力を得ることができずに一人で何とかしなければならないと考えてしまうと、責任感や重圧から自分だけが介護することを強いられ自由な時間を持つことができないことに不満を抱えることにもなるでしょう。

 

それらの不満やいら立ちなどがストレスとなって溜まってしまうのです。

 

 

認知症の方に対する介護負担

要介護者の中でも認知症の方は、何度言っても同じことを繰り返したり、突然、夜中に起き出して徘徊しようとしたり、介護者に対する暴言や暴行などの言動が見られるため、要介護者の抱える負担も大きくなりがちです。

 

常に目を離せない状態になれば、要介護者は自由の時間を確保できないだけでなく、仕事を続けることができなくなるまで追い込まれる可能性もあります。睡眠時間も十分に取れなくなり、心身ともに負荷がかかってしまうことになるでしょう。

 

経済的な負担

介護保険の支給限度額内で介護サービスを利用したとしても、紙おむつ、防水シーツ、介護用食品など、日々、介護に必要な用品を準備するためには色々な費用がかかります。

 

その中で要介護者が仕事を続けることができず、介護離職となれば収入も途絶えてしまい、要介護者の年金やそれまでの貯蓄に頼ることになってしまうでしょう。そのような経済的な不安を抱えた状態で、日々介護と向き合わなければならなくなるのは大きなストレスになってしまうようです。

 

同じ思いを抱える方との交流を持つことも大切

様々な要因が絡み合い、その結果、大きなストレスを溜めて介護うつや介護疲れといった状況に陥ることとなります。

 

ただ、その背景には介護者が孤立してしまうことが関係しているので、介護サービスを上手く利用したり、介護経験のある方に相談するといったことが必要です。

 

例えば「公益社団法人認知症の人と家族の会」など、同じように家族に介護を必要とする方がいる方が交流できる会もあります。

 

日頃の介護に関する思いなどをお互い打ち明ければ、悩みを解消することに繋がることもあるでしょうし、何より介護を行っている方にしかわからない思いなどを共感し合えるのはメリットです。

 

また、介護事業所でも要介護者の家族が交流できる場を設けるといったことも検討するとよいでしょう。

 

高齢者を支援するサービスを上手く活用してもらうために

介護保険サービス、介護保険外サービス、行政サービスなど、高齢者を支援するサービスにも種類はあります。

 

介護サービスを提供する事業所は、介護を必要とする方が快適に日々過ごせるようにするだけでなく、介護という問題に向き合い、その負担で苦しさを抱えている要介護者の負担をどうすれば軽減できるかまで考えていくべきなのです。

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