コラム

介護保険制度を充実させるために改正された法律の内容とは?

2000年に施行され、3年ごとに改正が行われてきた介護保険法では、介護保険制度に関する法律の定めがされています。

 

介護保険は40歳以上の方が被保険者となり、要介護認定をうけた方や特定の疾患を患う40歳以上の方が介護サービスを利用したとき、その負担を軽減するための制度です。

 

2018年にも改正されており、従来とは異なる自己負担割合に戸惑う方もいるかもしれませんので、その内容を確認しておきましょう。

 

2018年に改正された介護保険法

介護保険法の2018年改正内容には、いくつは介護サービスを利用する上で注意しておきたいポイントがあります。

 

そこで、改正された内容のうち押さえておきたい部分をいくつかご説明します。

 

自己負担割合は最大3割に

従来までは、介護サービスを利用した際の自己負担割合は1割または2割だったのですが、今回の改正で最大3割負担する必要が出てきます。

 

3割自己負担する必要があるのは、それまで2割分負担してきた方の中で所得が高い場合です。年間の合計所得が現役並み相当とされる場合(年金収入340万円以上)であれば、3割自己負担することになります。

 

なお、3割の自己負担の対象になる方は、介護サービス利用者全体の3%程度です。

 

福祉用具レンタルの価格を適正化

介護保険法では福祉用具に対する貸出代金は、レンタル事業者が自由に決めることが可能とされています。

 

そのため、どの事業者を利用して福祉用具を借りるかによって、負担する費用が変わってしまいます。

 

問題なのは、貸し出す上での適正価格や相場などを逸脱した不当とされるほどの高額な金額を設定する事業者がいることです。

 

このような問題を解決するため、福祉用具の貸与価格は商品ごとに上限が設けられ、全国平均の価格が公表されるようになりました。さらに事業者は、機能や価格の異なる複数商品を提示することを義務付けられています。

 

価格の相場を知った上で選択肢の幅を広げながら、適した福祉用具を借りることが可能になったといえるでしょう。

 

介護医療院の創設

従来まで、介護保険施設といえば、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、そして介護療養型医療施設の3種類でした。

 

ただ、2017年に介護療養型医療施設は廃止となったため、その転換先として「介護医療院」が創設されています。

 

この介護医療院では、長期に渡り療養を必要とする要介護者に、医療・看護・介護・生活上の世話などが行われます。

 

共生型サービス

介護保険と障害福祉、この2つを兼ね備えた制度として共生型サービスが利用できるようになりました。

 

従来までは、高齢者と障がいを持つ方は、それぞれ異なった事業所でサービスを提供してもらうことになっていました。しかし共生型サービスの利用が可能となったことで、高齢者と障がい者が同一の事業所でサービスを利用できます。

 

障害福祉サービス事業所などであっても、介護保険事業所としてサービスの提供が可能になったということです。

 

人数ではなく保険者の報酬額収入に応じた保険料の徴収

介護納付金の財源となるのは、その半分は税金、そして残りの半分は被保険者からの支払われる保険料です。

 

被保険者が支払う保険料とは、65歳以上の被保険者(第1号被保険者)からと、40~64歳の被保険者(第2号被保険者)による保険料のことです。

 

このうち、40~64歳の被保険者である第2号被保険者の保険料は、介護給付費の28%という決まりがあるので、この28%分を第2号被保険者の人数で割った金額が第2号被保険者1人の負担する保険料ということです。

 

これまで、第2号被保険者が納めなければならない介護納付金は、医療保険に加入している第2号被保険者の人数で決められていたため、人数が多いと報酬額には関係なく介護納付金を多くおさめなければならなかったのです。

 

しかし改正により、保険者の報酬額に応じて決まる形に変更されています。所得の高い方が多く保険料を負担するという形になったといえるでしょう。

 

 

消費税増税分も社会保障制度に使用されるように

2019年10月1日から消費税率は10%になりました。5年半ぶりとなった消費税増税により、税収の増加分は財政健全化や社会保障制度の充実などに使用されるとされています。

 

介護サービスを提供する施設や事業所に実質的な負担が生じないよう、消費税対応分は補われます。

 

そして介護保険料の軽減も制度を充実させる上でのメニューの1つで、高齢者の介護保険料は上がり続けており、大きな負担となり十分なサービスが利用できないという声もきこえます。

 

年金収入がそもそも少ない高齢者や、生活保護受給者などの、65歳以上の約3割に該当する方たちも少なくないため、毎年約1,400億円が充てられることになります。

 

所得に応じた負担の増加がポイントに

3年ぶりなった介護保険法改正では利用者負担の増加が話題になりましたが、所得に応じた保険料の負担、消費税の増税分の使途など、いずれも低所得の方と高所得の方が同じ負担にならないような仕組みが強化されたといえます。

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