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介護を必要とする身体状態や認知症の程度を示すランクとは?

介護が必要になった高齢者などに対して、社会が全体で支える仕組みが介護保険制度です。介護保険制度を利用する方たちが自立できるような支援を行うため、様々なサービスが利用できるようになっています。

 

利用者自らが利用するサービスを選べることや、費用負担と給付との関係が明確化されている社会保険方式が採用されていることが特徴です。

 

介護保険制度を運営する保険者に該当するのは、市町村や特別区などで、介護保険料を負担している40歳以上の方は被保険者に該当します。

 

介護サービスを利用できるのは65歳以上の方ですが、介護を必要とする状態にはランクが設けられていますので、自治体などからいずれかのランクの認定を受ける必要があります。

 

「要介護(支援)認定」はランクによって利用可能なサービスは異なる

現在、介護を必要とする状態のランクは、要支援や要介護という認定が設けられています。

 

どのランクに該当するかによって、利用できるサービスの種類や介護保険給付額などが異なっていますが、これはランクごとの平均的な身体の状態が異なるからです。

 

そこで、ランクごとの身体状態を確認しておきましょう。

 

要介護認定のランクと身体の状態

・要支援1

社会的支援を必要とする状態の方が該当しますが、食事や排泄などはほぼ自分で行うことを可能とし、身の回りの世話の一部に支えが必要な状態です。ただし、状態の維持や改善などの可能性は比較的高めといえます。

 

・要支援2

社会的支援を要する状態の方が該当しますが、食事や排泄などは自分で行うことができても、入浴などは支えが必要な状態など、複雑な動作に対する支えを必要とすることがあります。今後、要介護になる恐れがある状態といえます。

 

・要介護1

生活の中で、部分的に支えを必要とする状態の方で、排泄や入浴、着替えなどのうち、複雑な動作に介護が必要です。また、移動の動作にも支えを必要とすることがあり、理解の低下や認知症に伴う問題行動などがみられることもあります。

 

・要介護2

排泄や入浴の一部またはすべてに介助を必要とし、着替えなどは見守りを必要とする状態で、軽度の介護が必要な状態といえます。身の回りの世話や複雑な動作、さらに移動の動作にも支えを必要とし、理解の低下や認知症に伴う問題行動などがみられることもあります。

 

・要介護3

排泄、入浴、着替えなど全てに介助が必要で、移動の動作も自分で行えないこともあります。また、理解の低下や、認知症に伴う問題行動などもみられることがあります。

 

・要介護4

排泄、入浴、着替えは全て介助を必要とし、身の回りのことや、複雑な動作などはほとんどできないので、移動の動作なども自分だけで行うことは困難です。全般的な理解の低下や、認知症に伴う問題行動がさらに増える状態です。

 

・要介護5

寝たきりの状態で、生活全般の全面的な介護を必要とする状態です。全般的な理解の低下や多くの問題行動などがみられることもあります。

 

認知症高齢者の「日常生活自立度」

また、認知症を患う高齢者がどの程度、日常生活において自立できているのか、認知症の程度を踏まえた上で「日常生活自立度」というランクも設定されています。

 

介護保険制度の要介護認定では、認定調査や主治医意見書において用いられる指標でもあり、要介護認定の一次判定や介護認定審査会での判定の参考にも利用されますので、どのようなランク分けがされているか確認しておきましょう。

 

日常生活自立度のランクとその程度

  • 1 何らかの認知症を有し、日常生活は家庭、社会でもほぼ自立できている状態
  • 2 日常生活に支障のある症状や行動がみられ、意思疎通を困難とする状態は多少みられるけれど、注意していれば自立できる状態で、家庭の外でもこれらの状態であれば「2a」、家庭内でこれらの状態なら「2b」に分類されます。
  • 3 日常生活に支障のある症状や行動がみられ、意思疎通を困難とすることがあり、介護が必要な状態です。日中を中心にこれらの状態の場合は「3a」、夜間を中心にこれらの状態がみられる場合は「3b」に分類されます。
  • 4 日常生活に支障のある症状や行動がみられ、意思疎通は困難で、常時介護を必要とする状態です。
  • M 著しく精神症状や周辺症状、重篤な身体疾患がみられ、専門医療が必要な状態です。

ランクへの分類の基準

それぞれのランクの基準は、認知症による問題行動が、いつどこで生じているかによって分かれます。また、見守りだけが必要なのか、それとも声かけも必要とするのか、また、一時的に介護を必要とするのか、常時介護が必要な状態かなど、必要とする支えの程度によってどのランクに分類されるか異なります。

 

具体的な例

日中に常時介護を必要でも夜間は問題なく眠ることができる方と、日中は見守りが必要な程度でも夜間は不穏状態で常時介護が必要という方がいる場合、後者の方のほうが判定は重いランクに分けられます。

 

また、他人とのコミュニケーション能力が高く外出先での行動もほぼ自立できているが、家では日常生活全てに声かけや促しなどが必要という方と、家では日常生活全てに見守り程度の支えがあれば自力動作が可能でも、外出先では混乱してすべての行動に誘導などが必要という方の場合、前者の方のほうがランクは重くなります。

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