コラム

介護業界で働く方に知っておいてほしい「介護」や「介護福祉士」の歴史

2019年8月14日

江戸時代は儒教思想のもと、年老いた親の介護は家主である男性の責務とされていましたが、明治期以降は近代産業化社会が発展したことに伴って、都市部の新中間層に誕生した専業主婦がその役割を担うとする規範が形成されました。

 

戦前やそれより前の日本では、現在のように介護サービスが制度として発達していたわけではなく、高齢者の世話は家族が行うことが当然とされていたわけです。

 

この介護に対する考え方は、時代によって少しずつ変化していますので、これから介護業界で働く方たちに知っておいてほしい介護の歴史についてご紹介します。

 

当初、介護サービスは利用しにくい状況だった

戦後の高度経済成長期を過ぎ、だんだんと福祉制度も整備されていくようになりましたが、2000年を迎えるまでは老人福祉制度と老人保健制度に基づく高齢者サービスが提供されていました。

 

老人福祉制度で介護が必要なのか、どのサービスを利用できるのか決めるのは行政だったので、いろいろな制限が設けられている使いにくい制度だったといえます。

 

しかも主に低所得者だけが対象だったので、中級以上の家庭ではサービスを利用することができず、在宅介護を選ぶしかない状況だったのです。

 

制度の縛りが原因で、介護する側が抱えるストレスの問題も増え、介護地獄といった言葉まで出てくるようになってしまいました。

 

介護保険法の創設で利用しやすいサービスに変化

このような問題を解決するために、2000年4月から「介護保険法」が創設され、介護を必要とする高齢者や家族に対する支援が始まります。

 

それまでサービスを利用するためには行政窓口に申請を行い、自治体がどのサービスを利用できるか決める方式だったのが、自らが受けたいサービスや事業者を選ぶことができるようになったのです。

 

また、医療と福祉のどちらかのサービスも利用する場合には、それまではそれぞれに申し込みを行う必要がりました。しかし、介護保険法が創設されてからは、ケアプランという介護サービスの利用計画を作成することにより、医療と福祉のサービスをまとめて利用することができるように変わっています。

 

 

介護福祉士とはどのような資格?

少子高齢化により、介護を必要とする高齢者が増えている中、介護福祉士の重要も増え続けています。

 

ただ、介護福祉士自体の歴史はそれほど深くないため、時代の介護に対するニーズや流れによって生まれた資格であるといえるでしょう。

 

そこで、介護福祉士とはどのような資格なのか、その歴史についてもご紹介します。

 

介護福祉士の役割とは

福祉関係の国家資格者はソーシャルワーカーと呼ばれていますが、その種類もいろいろあり、たとえば高齢者の介護を行う介護福祉士、社会で困窮している方にアドバイスや援助を行う社会福祉士、精神疾患を患っている方を支援する精神保健福祉士などがあります。

 

この中でも、高齢者に対する介護は家庭で家族が行う、または特別養護老人ホームで働く福祉寮母という専門職の方が行っていましたが、人々のライフスタイルが変わったことでそのままでは介護に対応できなくなってきたのです。

 

介護が重要であることが世の中に認識されはじめ、国家資格である専門職が必要となりました。そこで、1987年に「社会福祉士および介護福祉士法」が制定され、介護福祉士が新たな資格として誕生したのです。

 

制定された社会福祉士および介護福祉士法では、身体または精神の障害があることによって日常生活に支障がある方に対し、状況に応じた介護や介護に関する指導を行う資格が介護福祉士とされています。

 

日本の人口は減少しているのに高齢者は増加

2017年10月時点の総人口は約1億2,600万人だったのですが、そのうち65歳以上の人口は総人口に占める割合の27.7%である約3,500万人でした。

 

将来推計人口で見た場合、2029年の人口は約1億2,000万人、2053年には約9,900万人と推計されています。

 

そのうち65歳以上の人口は、20365年には3人に1人、2065年には2.6人に1人になると推計されています。

 

人口は減少して行くのに対し、高齢者の人口は増加する一方と考えられているため、そもそもの介護福祉士の数は足りていない状況で、さらに不足することが予想されるといえるでしょう。

 

今後も介護福祉士のニーズは高まり続ける

高齢者数が増えれば介護福祉士に求められる役割も変化してきます。介護福祉士も、資格ができた当初は高齢者の身の回りのお世話がメインだったのですが、現在は生活全体にかかわりながら介護を必要とする本人、そしてその家族が自立することを促す立ち位置へと変わっています。

 

2007年には法律の改正により、社会福祉士・介護福祉士は、社会福祉や介護を取り巻く環境変化によって業務内容の変化に適応することが求められ、相談・援助・介護などに関する知識・技能の向上に努めなければならないとされました。

 

すでに介護サービスを充実させてきた北欧各国のように、日本でも高齢者が健康に安心して生活できるようなシステムが構築されるようになってきています。その時、介護福祉士に求められることは変わる可能性がありますが、いずれにしても今後ニーズが高まる資格であることは間違いないといえます。

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