老人ホームで高齢者と円滑な人間関係の作ることで働きやすい環境を手にすることができます。
その逆で円滑な人間関係が築けないと働いていて負担が多くなり、クレームが多くなってしまいます。
今回は、円滑な人間関係を築くとどのようなメリットがあるのか、よい人間関係の築き方について具体的に解説します。
せっかくなら、高齢者とのいい人間関係を構築したいと考えているあなたに向けて記事を書かせていただきます。
良い人間関係を構築するメリット
老人ホームで働くうえで良い人間関係を構築するメリットは主に4つあります。
老人ホームでの人間関係でのトラブルが少なくなる
人間関係が良いか悪いかで、同じ出来事に遭遇しても、人の受け取り方は変わります。
例えば、円滑で良好な関係にある高齢者のAさんがあなたに挨拶したときに、気付かなかったとき、Aさんは「あれ?聞こえなかったのかな?」と思う程度で、特段、気にしないと思います。
しかし、あまり関係の良くないBさんからの挨拶にあなたが気付かなかった時はどうでしょうか。
Bさんはあなたに「無視された!」と被害的に受け取り、「やっぱり嫌な奴だ」と感じるかもしれません。
同じ出来事でも、関係が悪いとトラブルの火種になりやすくなってしまうのです。
また、人間関係が構築されていれば、多少のミスをしても高齢者は「○○さんいつも頑張ってくれているから」と許してもらえるケースが多いです。
そのため、円滑な人間関係を築くことで老人ホームでの人間関係でのトラブルが少なくなるのです。
仕事での成果が得られやすくなる
近年、仕事の生産性を高める要素として「心理的安全性」が注目されています。
これは、ハーバード大学で組織行動学を研究しているエドモンソンによって発表された論文「Psychologibal Safety and Learning Behavior in Work Teams」で提唱された考え方です。
心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
介護の現場で言い換えると、老人ホームの中で高齢者が気兼ねなく介護者に対して自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
この心理的安全性が高ければ、自分のわからないことを質問した時に「こんなことも分からないのか」とバカにされたり、自分の意見を表明したときに「お前は何を言っているんだ!」と否定されたりする心配がありません。
その結果として、コミュニケーションが活性化され、移乗などの際もさらに協力して頂けるようになります。
周囲の人からのサポートを受けやすくなる
仕事をしていて困ったときや悩んだときに自分から助けを求めるのは難しいことも多いと思います。
しかし、普段から周囲の人と良い関係を築けていれば、あなたの変化に気づいて「どうしたの?」「何か力になれることはない?」と高齢者から声をかけてくれる可能性が高まります。
また、良い関係を築けている場合にはサポートされる側だけでなく、サポートする側にも喜びや満足感といったポジティブな感情を生んでくれます。
その結果、さらにお互いにサポート提供のハードルを下げることができるのです。
良い人間関係は幸福感を高める
人間関係と幸福感との関連については、多くの研究が行われています。
例えば、ある論文では、人間関係を広く求めるタイプの人たちは多くの人と人間関係を持つことが幸福感につながり、今の人間関係を大切にしたい人たちは居心地の良い人間関係を持つことが幸福感につながることを明らかにしています。
このように良い人間関係が幸福感を高めるという結果は様々な研究で立証されているのです。
プライバシーの保護
介護の現場で人間関係を得るためには、プライバシーの保護が基本になります。
高齢者にとって、見られたくない、知られたくないという部分に介助を通して触れなければならない時、どのように配慮するのかが重要になってきます。
特に入浴や排泄などの介助の際には、本来なら人に見られることのない部分を知られることになるので、介護スタッフのさりげない気遣いや心配りが重要となるのです。
例えば、排泄介助の際、利用者がトイレ便器に座っている姿が外から見える状態にしていたり、大きな声で声掛けをしたらどうなるでしょう。周囲の方に自分の見られたくない姿を知られることになり、トイレにいくことを拒否するようになるかもしれません。
居室内のポータブルトイレを利用する場合でも、カーテンなどを閉めて周りの方に見られないようにすることは必要ですし、トイレから利用者が出る時には着衣に乱れがないように整えてあげることが大切になります。
「もし自分だったら」と置き換えて考え、見られたくない場面は特に注意して配慮するようにしましょう。
排泄介助してもらう高齢者などは、介助をしてくれる介護スタッフに対し、恥ずかしいという気持ちだけでなく、情けなさや申し訳なさを感じているかもしれません。
その気持ちを理解せず、ただ効率的に介助を行いたいと考えてしまえば、利用者は自尊心を傷つけ、何もする気にならなくなり、生活への意欲も失う可能性が出てきます。
誰でも見られたくない、知られたくないという部分はあるので、できることは可能な限り高齢者本人に任せるようにし、できない部分をサポートする介助を行うようにしてください。
デリケートな部分の介護は特に人権や尊厳を守ることが重要になりますので、つい忙しさの中でプライバシーへの配慮を忘れてしまったり、早く介助を済ませようと急かしてしまったりといったことはないようにしましょう。