コラム

介護度が高い全介助を必要とする方へのケアで注意したいこと

食事や入浴、排泄、移動、体位変換、意思伝達など、生活を送る上で必要な動作について、全面的に介助を行うことを全介助といいます。

 

たとえば寝たきりであるなど、介助を行わなければ生活を送れない状態を全介助状態といい、サポートすれば必要な動作を行うことができることを半介助、見守りや誘導のみでよい場合を一部介助といいます。

 

介護を行う上で、全介助を必要とする方へのケアは最も大変であるといえますが、どのようにサポートしていけばよいのかその内容を確認しておきましょう。

 

全介助の方に対するケアで十分に注意しておくべきこと

寝たきり状態の方など、自分の意思では身体を動かすことはできませんので、次のようなことに注意しての介助が必要です。

 

  • 食事介助は口に運ぶ量にも注意が必要

寝たきりの状態の方は、咀嚼や嚥下機能が低下している方も多いため、流動食や経管栄養に頼らなければならないこともあります。

 

口から食べることができたとしても、少量ずつ口に運ばなければならないのに、量を間違えたことで誤嚥につながってしまうこともあり、その誤嚥が原因で肺炎を起こしてしまう方もいることを理解しておきましょう。

 

  • 床ずれや褥瘡ができていないか

ずっと寝たきりで自力で身体の向きを変えたりできない場合、同じ姿勢が続くことで身体の一部にのみ圧力が偏ることとなり、血行不全や組織が壊死してしまうことがあります。

 

このような状態を床ずれや褥瘡といいますが、皮膚がすりむけ潰瘍となる状態を指しており、炎症で深くえぐれたような状態になってしまいます。

 

褥瘡は放置していると、周辺組織をだんだんと壊死させることとなり完治しにくくなるだけでなく、感染症のリスクも高まってしまうため注意が必要です。

 

定期的に体位変換を行って、床ずれや褥瘡ができないように努めるようにしましょう。

 

 

床ずれや褥瘡が発生しやすい場所

体重がかかりやすく、皮下脂肪が少ない骨が突出している場所は床ずれや褥瘡が発生しやすくなります。肘やかかとなどはもちろんのこと、後頭部や肩から肩甲骨、坐骨からお尻などに同じ圧がかからないようにしてください。

 

また、シーツや寝衣などのしわで圧力が偏り、床ずれや褥瘡ができることもありますので、シーツや寝衣にたるみなどができていないかチェックすることも必要です。敷布団に接触する部分は肌の状態を定期的に確認することも行いましょう。

 

 

  • 排泄介助も注意が必要

寝たきり状態であれば、トイレまで行き排泄を行うことはできないため、オムツや専用のトイレを利用することとなります。

 

そのため、排泄介助の際には身体を抱え持ち上げることもあるでしょうが、骨が弱っている方などは介助の際に骨折してしまうこともあるので十分な注意が必要です。

 

寝たきりであることで、頻繁に全身入浴を行うことが難しい場合であっても、身体をキレイな状態に保つことは尊厳の維持にも繋がりますし、皮膚の疾患や尿路感染症を起こす原因になる可能性もあります。

 

この場合も寝たまま入浴を可能とするストレッチャー浴などで入浴することになりますが、移乗の際には十分な配慮が必要です。

 

寝たきり状態の場合の排泄

寝たきり状態であることで、腸の収縮や腹圧等が一般的な状態と異なり、排泄が難しいということもあります。

 

また、直腸から肛門に便が移動する時も、横に移動することになるので重力がかかりにくく、その上腹圧がかけにくい状態なので排便が難しくなることもあるでしょう。

 

それでも尿意や便意を感じ、伝えることができるのなら、さらに機能が低下してしまわないよう、尿器や便器を使用する方法での排泄を行うようにしてください。なお、尿意や便意を寝たきりの利用者が示した場合には、筋力の衰えで我慢できなくなっていることもあるため、排泄を最優先させるべきといえるでしょう。

 

排泄の際も自分でできることはできる限り自分で行うようにすることで筋力維持にも繋がるため、可能な限り身体を起こすなど座った状態に近づけていき、自然な排便を促しやすくしてください。

 

  • 全身入浴が難しくても

寝たきりであることで、全身入浴や着替えの頻度が減少しやすくなることは避け、できるだけ清潔な状態を保てるように、入浴が難しい場合でも洗髪や清拭を行うことが必要です。

 

清拭とは入浴が難しい状態の方の場合に、お湯を含んだタオルで全身を拭き清潔を保つことです。

 

身体全体を清拭するなら全裸に近い状態となるので、清拭していない部分はバスタオルなどで隠すなど、必要以上肌が露出しないようにしてプライバシーを尊重する配慮も必要です。また、上半身から下半身、陰部という順番で行いましょう。

 

全介助は基本24時間体制のケアが必要

全介助の必要な寝たきり状態の方などに対して、どのようにケアを行うべきか事前に把握しておくべきことはたくさんあります。また、寝たきりである上に意思疎通が難しい状態である場合、痛みや不調を訴えることもできず、気がつけば床ずれや褥瘡ができてしまっていたというケースもあります。

 

自分だけで食事や入浴、排泄等を行うこともできませんので、専門的なケアが24時間体制で必要になるということを理解しておくことが必要です。

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