コラム

認知症の基礎知識と介護疲れにならないための工夫とは?

もしも家族が認知症だとわかったとき、本人だけでなくその家族にとっても切実な問題となります。

 

認知症はちょっとしたもの忘れと同じでは?と思う方もいるでしょうし、そもそも何が原因で起き、どのような症状があらわれるのかわからない方もいることでしょう。

 

そのため、介護の仕事をする上でも認知症とはどのようなことなのか、誤解や偏見なく対応できるよう正しく理解することが必要です。

 

認知症とはそもそもどのようなことなのか

認知症は特定の疾患名ではなく、記憶などの情報をつなぎ合わせながら判断を適切に行うことが難しくなっている状態をあらわす言葉です。

 

日本神経学会の認知症に対する定義は、

 

「正常に達した認知機能が後天的な脳の障害により持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態であり、意識障害がないときに見られる症状」

 

としています。

 

一度体験したことの一部を忘れてしまう「もの忘れ」と似ていますが、認知症の症状が進んでいくと、たとえば何を食べたのか忘れるだけでなく、食べたこと自体を忘れてしまいます。

 

それにより食事を複数回取るようになるなど、日常生活にも支障を及ぼすことになることが特徴です。

 

認知症にも種類がある

認知症にも複数種類があり、何が原因で症状があらわれているかにより分類が変わってきますので、それぞれの内容を確認しておきましょう。

 

アルツハイマー型認知症

もっとも多く見られる認知症で、脳に特殊なたんぱく質が溜まることが原因と考えられています。主な症状でみられるのが近時記憶の障害で、昨日のことを思い出せないのに若い頃の知識や技術は忘れていないといった症状がみられます。

 

レビー小体型認知症

アルツハイマー型認知症の次に多い認知症で、特殊な物質(レビー小体)が脳の神経細胞内にできることが原因と考えられています。

 

それにより、見間違いや幻視が起きてしまい、他にも筋肉がこわばることで表情をなくし転倒しやすくなるといったパーキンソン症状もあらわれることを特徴とします。

 

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などを原因として発症する認知症で、身体のマヒや嚥下・言語障害などがあらわれることが特徴です。

 

 

認知症は治らない?

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症はたんぱく質の蓄積を抑え除去する薬などが使われ、脳血管性認知症には血管障害治療薬などが用いられます。

 

ただし薬による治療で、認知症の進行を遅らせることはできても治すことは現段階ではできません。

 

そのため認知症の方への対応のポイントとして、自分は必要な存在だと認識してもらうことが必要です。

 

本人が得意なことなどをお願いすることで、達成感を得ることや感謝される喜びを感じてもらうことができます。信頼関係を構築させることにもつなげることが可能となるでしょう。

 

反対にできないことを叱ることや、否定すること、指摘することはタブーです。

 

意思を受け止め汲み取り、できるだけ環境を変えないことや、生活リズムやペースに合わせてあげることが大切といえます。

 

認知症の家族が介護疲れにならないために

認知症の方を自宅で介護している家族の方は、心身の負担を重く感じ疲労がたまっていることも少なくありません。

 

目を離すと外を徘徊してしまう場合や、冷蔵庫の中のものを食べてしまうなど、少しも気を抜けないという状態では介護疲れになってしまうでしょう。

 

うまく介護ができないことに悩み、一人で抱え込んでしまうケースもあるようですが、介護の専門家ではないためできないことがあって当然です。一人で抱え込まず、介護のプロに早めに相談してもらい、頼ってもらうことが必要となります。

 

そのためには、保健センターや地域包括支援センター、在宅介護支援センターなどの専門機関に相談してもらうことが必要です。

 

他にも福祉団体や自治体などが介護教室を開催していることもありますので、同じように家族の介護を行っている方との接触で色々な情報を得ることもできますし、自分は一人ではないと感じ気持ちも楽になるでしょう。

 

介護の休息をとってもらうことが必要

家族の介護が必要な場合、常に休みのない状態となります。

 

しかしずっと介護をし続けるのではなく、一時的に休止してもらうレスパイトは必要不可欠といえます。

 

介護の一時的休止を支援するレスパイトサービスは、介護保険を利用できますので、うまく活用して息抜きしてもらいましょう。

 

たとえば在宅介護中なら、ホームヘルパーの訪問介護を利用することで一時的な休息をとることができます。

 

生活地域の介護事業所に通所し、必要なときに宿泊を可能とする小規模多機能型居宅介護を使ってもらうことも可能です。

 

認知症の方が利用可能な介護施設の利用も検討が必要

認知症の65歳以上の要介護者なら、認知症対応型通所介護というデイサービスを利用することもできますし、自宅での介護が難しくなればグループホームで同じような認知症の方たちと共同生活を送ってもらうこともできます。

 

認知症の方が入所できる介護施設として他にも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などがありますが、本人の気持ちだけでなく家族の状況なども踏まえながら検討してもらうことが必要といえるでしょう。

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