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訪問介護で守らなければならない「2時間ルール」とは?

訪問介護では「2時間ルール」という規定があり、自宅で日常生活における身体介護や生活援助を受けている方にケアを行う上で、守らなければならないルールです。

 

介護現場で働くとき、訪問介護を選ぶのなら「2時間ルール」について必ず把握しておく必要がありますので、その内容について解説していきます。

 

訪問介護の「2時間ルール」とはどのような決まりなのか

訪問介護とは、自宅で生活する身体介護や生活援助を必要とする高齢者に対し、ホームヘルパーが自ら出向き介護ケアを提供するサービスのことです。

 

身体介助だけでなく、家事など生活援助や通院介助も行うことになりますが、訪問介護の利用は1日1回に限定されているわけではありません。

 

1日に複数回、訪問介護を利用することが可能とされていますが、サービス利用の間隔は2時間以上空けなければならない「2時間ルール」を守ることが必要です。

 

「2時間ルール」の算定方法

訪問介護の「2時間ルール」は、前回提供したサービスからおおむね2時間未満の間隔でサービスを提供したとき、提供したサービス2回分の報酬を算定するわけではありません。

 

2回のサービスの所要時間を合算し、報酬を算定することになります。

 

たとえば身体介護25分を2回、2時間未満の間隔で提供したときには、1回のサービスを50分間提供したことになり、報酬もそれに伴って算定します。

 

このようにサービスとサービスの間隔を2時間以上空けなければ、提供する訪問介護のサービスが異なる場合でも、1回のサービスとみなされます。

 

訪問介護の単位と「2時間ルール」の関係

訪問介護は、サービスを提供する所要時間を合わせて報酬を算定しなければなりません。

 

介護保険を使えば利用者が負担する費用は1割になりますが、サービスを利用した時間や単位により自己負担する金額も変わってきます。

 

 

1単位あたりの単価は地域により異なりますが、訪問介護の種別と所有時間に対応する単位数は以下のとおりとなっています。

 

【身体介護中心型の所要時間と対応する単位数】

  • 所要時間20分未満…所要時間に対応する単位数167単位
  • 所要時間20分以上30分未満…所要時間に対応する単位数250単位
  • 所要時間30分以上1時間未満…所要時間に対応する単位数396単位
  • 所要時間1時間以上1時間30分未満…所要時間に対応する単位数579単位

 

【生活援助中心型の所要時間と対応する単位数】

  • 所要時間20分以上45分未満…所要時間に対応する単位数183単位
  • 所要時間45分以上…所要時間に対応する単位数225単位

 

 

ただし「2時間ルール」の適用により、単位数の計算方法は次の例のように変わってきます。

 

例:1日2回25分ずつ身体介護を受けた場合

  1. サービス利用の間隔を2時間以上空けていれば、250単位×2=500単位となる。
  2. サービス利用の間隔が2時間未満のときは、同一サービスとして扱うため所要時間50分なので396単位となる。

例:1日2回、20分以上30分未満の身体介護をそれぞれ受けた場合

サービス利用の間隔が2時間未満なら2つのサービス提供の所要時間は合算となり、30分以上1時間未満とみなされるため396単位となる。

 

例:1日3回、20分以上30分未満の身体介護をそれぞれ受けた場合

1回目と2回目の間隔が2時間未満で、2回目と3回目の間隔が2時間以上だったときには、1回目と2回目は所要時間が合算され30分以上1時間未満となる。2回目と3回目の間は2時間以上空いているため、独立した所要時間で扱うこととなり、単位数は396+250=646単位となる。

 

例:頻回訪問可能とする指定訪問介護事業所のサービスで、1日2回、20分以上30分未満と20分未満の身体介護をそれぞれ受けた場合

サービスの利用間隔が2時間未満でも合算せずにそれぞれ独立した所要時間とみなされるため、250+167=417単位となる。

 

このように、たとえサービスを提供した所要時間は同じでも、「2時間ルール」が適用されることで単位数は大きく変わると理解しておきましょう。

 

訪問介護の「2時間ルール」の例外にも注意

訪問介護では「2時間ルール」が適用される点に注意が必要ですが、次のケースでは例外としてこのルールが適用されません。

 

指定訪問介護事業所で20分未満の身体介護を受けたとき

頻回で訪問できる指定訪問介護事業所であれば、サービス同士の利用間隔が2時間未満の場合でも、所要時間は合算せずにそれぞれの単位数を加算することができます。

 

たとえば1日3回、訪問介護を利用したとしましょう。

 

そのうち1回は指定訪問介護事業所で20分未満のサービスを利用したとすると、その前に利用したサービスからの間隔が2時間未満でも、合算せず167単位を加算します。

 

看取り期で対応したとき

看取り期になると訪問介護の頻度も増えるため、単位数も柔軟な対応が求められます。

 

そのため2021年度の介護報酬改定で、看取り期は訪問した間隔が2時間未満の場合でも、所要時間は合算せずそれぞれの単位数を算定できます。

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