コラム

介護保険サービスを利用する際に必要になる介護段階の認定について

介護職で働いていると「要支援・要介護の認定を受けた」という会話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

実は、高齢者が介護保険サービスを利用するためには、ただ介護が必要であるというだけでなく、その段階に応じて要介護や要支援という認定を受けることが必要になるのです。

そこで、介護を必要とする方がどのような状態なら要介護や要支援と認定されるのかについてご説明します。

 

要介護・要支援認定を受けると何ができる?

要介護や要支援の認定とは、介護を必要とする方の身体的な状況や介護をどれほど必要とするかをあらわし、どの介護保険サービスを利用することが適切かを示すためのものです。

また、それ以外にも要介護・要支援認定は、自治体などが行う介護用紙おむつの費用給付事業や助成、施設の入居条件の基準としても使われます。

実際に、厚生労働省によると、2019年度の要介護(要支援)認定者数は約669万人となっています。

要支援とは、今は介護を受ける必要はないものの、将来に備え心身機能を維持・改善することが必要であると判断される状態であり、「介護予防サービス」や「総合事業」によるサービスを利用できます。

要介護はすでに介護が必要な状態であり、介護保険制度を利用したサービスにより自立した生活を目指すことが必要であると判断される状態です。

認定を受けることができるのは、65歳以上の方、または40~64歳までの方で特定疾病(16種類)の方です。

要介護と要支援は段階によって分類される

要支援は要支援1、要支援2という2段階、要介護は要介護1から要介護5までの5段階に分類されます。

どの区分に該当するかによって、利用できる介護保険サービスの範囲、量、負担する費用の上限などが異なります。

どのような心身状態であれば要支援や要介護と認定されるのかは、平均的に次のような状態が目安となります。ただ、実際に認定を受けた方の状態と一致しないこともあるので、あくまでも目安として参考にしてください。

 

要支援1の段階

日常生活における基本的な動作はほとんど自分で行うことができるものの、要介護段階に進行すること防ぐため、高度な運動や記憶力が必要な動作であるIADL(手段的日常生活動作)では何らかの支援が必要と判断される場合です。

例えば、食事や排泄はほとんど自分で行うことが可能であるものの、部屋の掃除や身の回りのことを自らが行おうとする時、一部に何らかの見守り屋手助けなどが必要となる状態である場合や、立ち上がりや複雑な動作に何らかの支えが必要になることがある場合などが該当します。

 

要支援2の段階

要支援1と比較した場合、IADL(手段的日常生活動作)の能力が低下しており、機能を維持・改善させるための支援が必要と判断される場合です。

 

要介護1の段階

要支援と比較した場合、さらにIADL(手段的日常生活動作)の能力が低下しており、入浴や排泄においても部分的な介護が必要と判断される場合です。

例えば、部屋の掃除や身の回りのことに何らかの見守りや手助けが必要であり、立ち上がりや複雑な動作、移動の動作に何らかの支えを必要になる場合が該当します。

また、問題行動や理解低下がみられることもあります。

 

要介護2の段階

要介護1の状態に加え、起き上がりや歩行にも部分的な介護が必要と判断される場合です。

立ち上がりや複雑な動作、歩行、移動の動作に何らかの支えが必要であり、食事や排泄にも何らかの見守りや手助けが必要となることがあります。また、要介護1と同様に問題行動や理解低下がみられることもあります。

 

要介護3の段階

要介護2からさらにIADL(手段的日常生活動作)、日常生活を送るために最低限必要な動作であるADL(日常生活動作)が著しく低下した状態で、立ち上がりや歩行は自力で行うことは難しく、入浴や排泄、衣服の着脱なども全面的な介護がほぼ必要という状態の場合です。

部屋の掃除や身の回りのことは自分でできず、立ち上がりや複雑な動作はひとりでできない状態であり、歩行、移動の動作を自分で行うことができないこともあります。

また、いくつか問題行動を起こすことや理解の低下など全般的にみられることもあるといったこともみられます。

 

要介護4の段階

要介護3よりさらに動作能力が著しく低下しており、日常生活を送る上で全般的に介護を行うことは困難な状態です。

部屋の掃除や身の回りの世話、排泄などはほとんどできず、立ち上がりや複雑な動作、歩行、移動の動作など自分ひとりで行うことはできません。

さらに、多くの問題行動や全般的に理解の低下などみられることがあります。

 

要介護5の段階

要介護4の状態より動作能力がさらに低下した状態で、意思伝達も困難で介護がなくては日常生活を送ることは難しい状態です。

部屋の掃除や身の回りの世話などほとんどできず、立ち上がりや複雑な動作、歩行、移動の動作、排泄や食事なども一人ではできず、多くの問題行動や全般的な理解低下がみられることがあります。

 

まとめ

今回は、介護保険サービスを利用する際に必要になる介護段階の認定についてご説明しました。

おおよそ、心配されている方がどの段階にいるのかを認識できたのではないでしょうか。

自治体によって細かな手続きの流れなど異なることもありますし、介護の段階は上記に当てはまらない場合もありますので、あくまでも目安として参考にしてください。

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