コラム

介護現場で働く職員の男女比率は?男性と女性、どちらの人数が多い?

労働を可能とする能力や資格を持った年齢層を「生産年齢人口」という言葉を使って表現しますが、近年ではこの生産年齢人口は減少傾向にあります。

 

主に15~64歳の年齢層を指す生産年齢人口ですが、介護の現場でも将来減少することが不安視されています。

 

しかし、介護業界には様々な職種があり、高齢化が進む中で人材を確保していくことは必須とされます。

 

その不足傾向にある介護職へ転職することを考えた時、職場には男性と女性、どちらが多いのか気になるところでしょう。

 

同姓が多いほうが働きやすいと感じる方もいれば、反対に気を使うので働きにくいと感じる方もいるかもしれません。

 

では、介護の職種別に見た場合、男性と女性ではどちらの割合が多いのでしょう。

 

実際に実施された調査で男女比率を確認

公益財団法人介護労働安定センターでは、全国で介護保険サービスを行う事業所のうち、抽出した17,638事業所を対象にアンケート調査を実施しました。

 

この「平成29年度 事業所における介護労働実態調査」での有効回答8,782事業所で、有効回収率は49.8%でした。

 

なお、介護に直接かかわる労働者を対象とした調査なので、介護事務(ケアクラーク)、医療事務、受付、施設長など事業所管理者は調査対象に含まれません。

 

この調査のうち「介護労働者の就業実態と就業意識調査」では、抽出した事業所の中で、1つの事業所あたり介護に直接かかわる労働者3人を上限に選出した52,914人に対してアンケート調査が実施されました。

 

有効回答があったのはその40.2%にあたる21,250人で、男性は22.3%、女性は75.0%という割合です。

 

それぞれの職種の特徴、そして回答のあった労働者の中でも男性と女性の割合を確認してみましょう。

 

介護職員

高齢者福祉施設や障害者福祉施設などで働く場合、特に資格は必要ありません。ただし、介護の基本的な知識や技術は身につけておくことが求められます。

 

2013年から新設となった「介護職員初任者研修」など、施設職員または在宅スタッフを問わず、介護職として働く基本になる知識や技術を修得できる研修もあります。

 

施設によっては、この介護職員初任者研修を受講していることや、介護福祉士の資格が必要である場合もあります。

 

全体回答労働者数21,250人に対し、介護職員は8,037人で、男性が24.7%、女性は72.8%の割合です。

 

介護支援専門員(ケアマネージャー)

介護や福祉に関する幅広い知識や経験が必要な資格で、介護職以外に、保健や医療従事者が取得することも可能です。

 

多岐に渡る介護サービスの中から、利用者に合う介護サービスを選んで計画(ケアプラン)を作成し、利用者やその家族に提案するコーディネーターの役割を担います。

 

全体回答労働者数21,250人に対し、介護支援専門員は2,797人、男性が21.8%、女性は74.9%の割合です。

 

看護職員

看護職とは、保健師助産師看護師法に基づく、保健師、助産師、看護師、准看護師のことです。

 

科学的な知識や技術で人々の健康を守り、豊かな生活を送ることができる支援を行います。

 

介護業界でも看護職員を必要とする場は豊富にあり、例えば、老人ホームなど介護施設での勤務、または訪問看護や訪問入浴などでも活躍します。

 

施設勤務になると夜勤がある場合もあるので、勤務時間やシフト形態など事前に確認しておくことが必要といえるでしょう。

 

全体回答労働者数21,250人に対し、看護職員は2,742人、男性が8.6%、女性は88.5%の割合です。

訪問介護員(ホームヘルパー)

介護を必要とする方の自宅を訪問し、日常生活を支援する役割を担います。

 

調理や洗濯、掃除などの家事援助、食事、入浴、排泄などの介護支援、そして生活面でのアドバイスや精神部分のサポートなどを行います。

 

全体回答労働者数21,250人に対し、訪問介護員は2,695人、男性が12.5%、女性は83.9%の割合です。

 

サービス提供責任者

通称「サ責」と呼ばれることもありますが、訪問介護サービスの責任者となる存在です。

 

訪問介護サービスについて、具体的なサービス内容の実施計画を立てて、訪問介護員を指導・管理する立場となります。

全体回答労働者数21,250人に対し、サービス提供責任者は2,136人、男性が15.4%、女性は81.6%の割合です。

 

生活相談員・支援相談員

老人ホームやデイサービスなどで、利用者などの生活相談や入居相談、関係機関や事業者との連絡・調整業務などを行う、介護業界の営業職といえる仕事を担います。

 

「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる仕事ですが、職場の種類によって呼び名が異なります。

全体回答労働者数21,250人に対し、生活相談員は1,807人、男性が37.6%、女性は60.2%の割合です。

 

PT・OT・STなど機能訓練指導員

機能訓練指導員には、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)などがありますが、老人ホーム、デイサービス、デイケアなどでリハビリを担当します。

 

高齢者がその人らしく生活を送ることができるように、必要な身体能力や生活能力を獲得する機能訓練を提供します。

 

全体回答労働者数21,250人に対し、PT、OT、STなどは517人、男性が60.5%、女性は38.5%の割合です。

 

性別関係なく介護人材は常に必要とされている

介護現場では男性よりも女性のほうが活躍している傾向が高いことが分かります。

 

そして介護施設などへの入所者も、2:8から3:7の割合で女性のほうが多くなっています。

 

入所者の男女数の差が生じる要因には、男女の平均寿命の違いや、男性が施設で世話をされることを懸念する傾向が高いこと、また、他の入所者と生活を送る不自由さを敬遠する傾向などが背景にあるといえるでしょう。

 

しかし今後は超高齢化が進むため、男性、女性関係なく、介護業界で働く人材は常に必要とされています。

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