コラム

介護現場で利用者に正しい座位姿勢を維持してもらうために

2020年4月1日

介護や医療現場では、高齢の方や身体が不自由な方が寝たきり状態にならないため、座位保持を基本とするケアやリハビリが多く行われていました。

 

しかし介護現場で長時間にわたり座ったままという状況が見られるようになるなど、不良な座位姿勢や拘縮、座位褥瘡、嚥下などに対する影響が問題視されているようです。

 

崩れた状態の座位姿勢ではさまざまなトラブルが発生することに

すべり座りや横に崩れた状態での座位姿勢など、本来あるべき姿とはいえない不良な座位姿勢のままの状態は、介護を必要とする方にとって様々な悪影響につながります。

 

座位姿勢を保持する車いすについては、いろいろな調整機能が備わった車いすが利用されるようになっていますが、そのような機能のない標準タイプの車いすを使用している介護施設なども少なくありません。

 

しかし不良な座位姿勢が続くと、固定化された姿勢が崩れたり、関節可動性が低下することになってしまいます。

 

さらに呼吸機能や摂食・嚥下機能を低下させ、浮腫や褥瘡を発生させる要因となることでしょう。転落のリスクも発生しますので、正しい座位の姿勢を保持することを心掛けてください。

 

安定した座位とは?

安定して座っている状態とは、足底や大腿部の裏面から坐骨が作る面である支持基底面の中に、座位時には胸付近にある重心から下に向かった垂線が支持基底面と交わる圧中心点に収まっているはずです。

 

そのため、支持基底面を広く保ち、その中心部分に圧中心点が位置するように配慮することで安定した座位となるでしょう。

 

座ったままで手を前に伸ばせば前に重心が移動しますので、圧中心点も支持基底面の前に移ることになります。

 

これはお辞儀をする時も同じですが、前に前身を傾けた姿勢から立ち上がるのは比較的容易です。これは圧中心点が前に移動することで、立ったときの支持基底面に圧中心点が移るからといえます。

 

 

正しい座位姿勢を保ちにくいケースとは

高齢の方や脳血管疾患を患っている方や筋力が低下している方など体の姿勢を保ちにくい方などは、頭や腕、胸などの重さを支えることができないため、骨盤が後ろに倒れ背中が曲がってしまい、姿勢が前かがみになりやすいといえます。

 

前かがみの姿勢では、支持基底面の後ろに圧中心点が移ることになってしまいます。そうなると股関節、膝、呼吸機能など、体のいろいろな部位や機能に悪い影響を及ぼすことになるので注意が必要です。

 

自分で姿勢を自由に変更することができればよいですが、そうでない場合には長時間椅子や車いすに適切な座位を保つことができるための工夫が必要になるでしょう。

 

身体を支持する面に対する工夫を

車いすでは、背もたれ部分、座面、アーム・フットレストなど、様々な部分が身体を支持することになります。

 

そのため正しい姿勢を保つためには、座面だけでなくその他の支持面との総合的なバランスを確認することが必要です。背もたれにレスト、ポジショニング用具などもあってこそ、よい姿勢を保つことができると認識しておいてください。

 

座面で注意したいのは座布のたわみ

車いすのシートの座布がたわんでいた場合、安定性が損なわれて不良座位の原因になる可能性があります。座面には車いす用のクッションが用いられることになりますが、その種類や機能も様々です。

 

利用者が座り心地がよいと感じると同時に、姿勢が安定することが必要なので、状況によりどのクッションを選ぶか使い分けるようにしましょう。

 

背もたれの重要性

座面の圧分散は、背もたれの利用によりよい姿勢を実現することで改善されるものです。

 

総合的なバランスを保つことができる補助具を活用することにより、安定した座位を保つことにつながるでしょう。

 

アームレストとフットレスト

一般的な車いすに備え付けられたアームレストは、体の左右に位置しており支持面も狭くなっています。そのため前後に対する支持には適しているとはいえないため、クッションやテーブルなどで姿勢をうまく安定するように工夫しましょう。

 

また、車いすを椅子の代わりに使う場合は、足をフットレストではなく高さに合う足台に乗せた方が良好な姿勢を保つことにつながりやすいといえます。

 

利用者の身体に負担が発生しない座位を保つことが必要

高齢の方や体が不自由な方が寝たきり状態になることを予防することを目的として座位を保とうとすることもあるでしょう。しかし長時間に渡り、椅子や車いすに座ったままの状態から様々な問題を引き起こすこともあります。

 

ただ座位を保つだけでなく、適切な姿勢で安定させることが必要ですが、特に車いす上で座位活動する時間への配慮が必要です。

 

時間を確認しながら車いすの方に痛みなどはないか尋ねてみたり、その時の表情や手・足の動き、姿勢が傾いていないかなどの状態を確認するといったことも必要となるでしょう。

 

除圧するために姿勢を修正したり、座り直してもらうなど、利用者に身体的な負担が発生しないケアを行うようにしてください。

-コラム

Copyright© 介護パートナーズ , 2018 All Rights Reserved.