コラム

介護現場で腰への負担を減らす移乗の方法

実は、介護の現場では、非常に多い「移乗」について実は間違ったからだの使い方をしている人が多いです。

 

間違えた移乗をしていると腰への負担が多くなります。

腰痛にならないためにも移乗をマスターすることが自分のからだの為に繋がります。

この記事を読むことで「正しい移乗」をマスターしましょう!

 

腰への負担

一般的に介護の仕事は高齢者に身体介護や生活援助をする仕事になります。

身体介護では高齢者をベッドから車いすへ移乗させたり、入浴の介助、トイレ介助など高齢者を抱きかかえたり身体を支えたりする場面が一日に何度もあり、非常に体力を要するものになります。

 

ひとつひとつの間違えた、からだの使い方を繰り返すことによって負担が蓄積されていくのです。

 

特に、負担が多くかかるのが、「腰」です。実際に介護職を退職する理由で多いのが「腰痛」というケースも少なくありません。

 

ボディメカニクス

腰痛を軽減するために紹介するのは、「ボディメカニクス」です。

ボディメカニクスとは、力をなるべく入れないで移乗を行う介護技術になります。

腰痛を予防するためには、介護するときの姿勢を意識することが重要になってきます。

力をなるべく入れないでボディメカニクスを身につけることによって腰痛を未然に防ぐことができます。

 

基本としては、身体の重心を垂直に落とすことです。

具体的には足を肩幅くらいに広げ、膝を軽く曲げて作業をします。

重心を低く垂直に落とすことによって前かがみにならず、腰に余分な負担がかかりにくくなります。

 

このボディメカニクスを理解した上で移乗の基本についての理解をする必要があります。

 

移乗の基本

介護現場で非常に多い「移乗」については、非常に間違ったからだの使い方をしている人が多いです。よく確認して行うのがよいでしょう。

 

移乗では下から上に持ち上げるのではなく、横にスライドさせるというイメージが大切です。

例えば、ベッドから車いすへの移乗は車いすをできるだけベッドに近づけ、介護される方の身体をスライドさせると腰に負担がかからず、腰痛の予防になります。

 

ここで大事なのは、高齢者の身体を小さくすることと摩擦をなくし、重心の高さを合わせて密着することです。

 

腕を胸の前で組む、膝を立てるなどして、ご利用者の身体をコンパクトにすることで、支えやすくなります。そこで、接地面を小さくすることや、滑りやすくすることで摩擦を減らします。身体を小さくすることが摩擦を減らすことにつながります。

 

 

その上で、重心の高さを合わせて密着させます。人間の重心は、立っているときは骨盤の中にあります。

 

高齢者の重心と、自分の重心の高さを合わせて、密着することで高齢者の重心移動を利用して移動することができます。介助される方も高齢者も身体に負担なく動かすことができるのです。

 

密着を嫌がる高齢者はあまりいませんし、密着すると逆に安心してくれますので、遠慮せずに自分の身体を高齢者に密着させることが大事になります。

 

また、移乗の際にポイントになるのは、高齢者とのコミュニケーションになります。

コミュニケーションで最も重要なのは、声かけです。「今からこのベッド移りますね、一、二の三で移しますね!」と伝えたら、高齢者は持っている力で協力してくれることが多いです。

特に、足に力が入る人なら対応してくれますので、少ない力で移乗することができます。また、身体が動かない人でも心構えができます。心構えができると安心して身体を任せてくれます。

 

その上で「何か不安なことはありますか?何かあったら教えてくださいね!」などの声掛けをすることで高齢者の方にはより安心していただけます。

 

また、言葉だけでなく、表情でも訴えます。

特に、自分でうまく伝えられない方は表情を見るようにすることで相手の気持ちがわかります。

痛いとかしんどいなど表情が豊かではない方でも痛い時は眉間にしわがよります。高齢者の方と同じ視点で観察することが大事になります。

 

信頼関係を築くことでより移乗に協力的になっていただけるのです。

 

自分の為だけでなく高齢者の為にも

社会医学研究が『介護保険施設における介護事故の発生状況に関する分析』調査によると介護事故において、過半数を占める事例が「転倒・転落」です。

 

その転倒・転落事故が起きやすいシチュエーションのひとつに「移乗介助」があります。

事故を起こさないためにも正しい移乗をマスターすることが重要だといえます。

 

ケース別の詳しい移乗方法についてはネットなどには動画で解説も見ることもできます。

 

ひとつずつマスターしてよりそつなく、負担なく移乗ができるようになると自分だけでなく、高齢者も安心感があります。

 

高齢者に安心して任せて頂けると信頼が生まれます。

高齢者に信頼をされると、さらにやりがいのある仕事になるでしょう。

 

毎日少しずつでも変えていくことが大事になってきます。

自分の為だけでなく、高齢者の為だと思って少しずつ習得できたらいいですね。

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