3Kとは「きつい」、「きたない」、「きけん」をイメージさせる、労働環境の悪い職業をいう言葉です。
一般的に、土木作業やゴミ収集などが3Kに含まれると言われますが、介護職も3Kの代表格として世間一般では知られています。
介護職では具体的に、「体力的や精神的にきつい」、「汚物に触れる機会が多い」、「危険な病気に感染する恐れがある」があげられます。
3Kにおける“きつい”
一般的に介護の仕事は高齢者に身体介護や生活援助をする仕事になります。
身体介護では高齢者をベッドから車いすへ移乗させたり、入浴の介助、トイレ介助など高齢者を抱きかかえたり身体を支えたりする場面が一日に何度もあり、非常に体力を要するものになります。
特に、負担が多くかかるのが、「腰」です。実際に介護職を退職する理由で多いのが「腰痛」というケースもよく聞きます。
そんな腰痛を予防するためには、介護するときの姿勢を意識することが重要になってきます。力をなるべく入れないでボディメカニクスといった介護技術を身につけることによって腰痛を未然に防ぐことができます。
基本としては、身体の重心を垂直に落とすことです。
具体的には足を肩幅くらいに広げ、膝を軽く曲げて作業をします。
重心を低く垂直に落とすことによって前かがみにならず、腰に余分な負担がかかりにくくなります。
また、介護現場で非常に多い「移乗」については、非常に間違ったからだの使い方をしている人が多いです。
移乗では下から上に持ち上げるのではなく、横にスライドさせるというイメージが大切です。
例えば、ベッドから車いすへの移乗は車いすをできるだけベッドに近づけ、介護される方の体をスライドさせると腰に負担がかからず、腰痛の予防になります。
正しいからだの使い方を覚えることで自分だけでなく高齢者の方の負担も少なく、信頼を得ることができます。
3Kにおける“きたない”
食事や排せつの場面での介助も、介護スタッフが日々行う仕事です。
食事介助の場面では、食べ物や飲み物をこぼしてしまう方もいるでしょう。
また、おむつ交換や排せつ介助では、排せつ物を目にすることは避けられないでしょう。
ときには体調不良の方の嘔吐物の始末などをすることもあります。
介護の仕事をする限りは避けられないことであり、たいていの介護スタッフは慣れますが、そのような仕事を「きたない」と感じてしまう方もいるようです。
最近では、世界的に流行している感染症など影響もあり敏感になっている方も多いのではないのでしょうか。
特に、「排せつ」に関しては大きな課題になります。
その課題を解決、軽減するためには、「トイレをすぐに諦めないこと」です。
漏れるようになったことを言い訳にこれまで使用していたトイレをすぐに諦めないことが大事です。
人の身体は、座位で排泄するからこそ直腸や膀胱から排泄物が出し切れるようになっており、寝て排泄するようにはできていないのです。
「おむつしているからそこでしても良いよ」という安易な声かけは、出しきれない不快感から便秘や膀胱炎などに繋がります。
高齢者の方を想うのなら、できる限りトイレを諦めさせることのないように対応することが大事になります。
また、積極的に用具の導入を検討する必要があります。
例えば、少々の漏れを軽減する用具としては、「失禁パンツ」、「軽失禁用のパッド」、「男性用のコンドーム型の排尿管理システム」などがあります。
高齢者の方の症状に合わせて適切な提案ができるように知識を増やすことも重要になってくるのかもしれません。
3Kにおける“きけん”
先ほどの「きたない」と繋がるところではありますが、感染症に関する「きけん」があります。
介護施設で働く場合、身体の抵抗力が弱くなっている高齢者が入所しています。
ですので、ウイルス性胃腸炎やインフルエンザなどの病気の集団感染が起こるリスクがあります。
また、大柄な方の介護の際などに、支えきれずにバランスを崩してしまい、ケガをしてしまうことも起こり得ます。
さらに、認知症の方の予期せぬ動きや暴力などでケガをすることもあり、それらが「きけん」と言われる理由となっています。
しかし、一方で労災の指標となる1年間の労働者1,000人あたりに発生した死傷者数(令和元年)の割合は社会福祉施設で2.39となっており、接客娯楽業は2.5、建設業は4.5です。
他産業と比較してみても、特に介護業界がきけんと言うことはなさそうです。
普段の生活から体を動かすことや職員同士で連携をとることや食事を取って健康的な生活を心がけることが大事になります。
3Kにプラスされた“給料が安い”
また、近年、介護職では、Kの一つに「給料が安い」などが加えられ「4K」とすることもあります。
仕事量に見合った給料をもらえないといった理由から、短期間で離職してしまうケースも少なくないようです。これは、長年の課題でなかなか改善されない部分ではあります。
介護現場でそれぞれの課題に向き合い、ひとつずつ解決していけるようにひとりひとりが考え、発信していくことが大事になってくるのではないのでしょうか。