コラム

「介護」や「介護福祉士」の歴史からわかる今後の将来

介護は、長期的な問題です。日本の介護には歴史があります。人間は誰しも年を取っていくものです。歴史を知ることで今後の将来を考えることができます。

今回は、これから介護業界で働く方たちだけでなく、将来に備えて皆さんに知っておいてほしい介護の歴史についてご紹介します。

介護保険法の創設により介護の選択肢が増えた!

2000年4月から「介護保険法」が創設され、介護を必要とする高齢者や家族に対する支援が始まります。それまでサービスを利用するためには行政窓口に申請を行い、自治体がどのサービスを利用できるか決める方式でした。しかし、「介護保険法」が始まることで自らが受けたいサービスや事業者を選ぶことができるようになったのです。また、これにより、40歳以上で介護が必要になった人の自立生活を支援するために、国民が負担する保険料や税金を財源として、日常生活の行為にかかるさまざまな介助やリハビリなどのサービスにかかる給付ができるようになったのです。

また、医療と福祉のどちらかのサービスも利用する場合には、それまではそれぞれに申し込みを行う必要がありました。しかし、介護保険法が創設されてからは、ケアプランという介護サービスの利用計画を作成することにより、医療と福祉のサービスをまとめて利用することができるように変わっています。

 

高齢者は増加、一方で若者世代は減少

日本では、1997年に子どもの数が高齢者人口よりも少なくなりました。この年以降、少子社会が現在まで続いています。

また、2017年10月時点の総人口は約1億2,600万人に対して、65歳以上の人口は総人口に占める割合の27.7%である約3,500万人でした。

高齢化の流れは今後も続くと想定されています。将来推計人口で見た場合、2029年の人口は約1億2,000万人、2053年には約9,900万人と推計されています。そのうち65歳以上の人口は、2035年には3人に1人、2065年には2.6人に1人になると推計されています。

人口は減少して行くのに対し、高齢者の人口は増加する一方と考えられているため、そもそもの介護福祉士の数は足りていない状況で、さらに不足することが予想され、社会問題となっているのです。

 

介護福祉士は必然的に生まれた!

介護福祉士は1987年に制定された「社会福祉士および介護福祉士法」によって、国家資格とされました。当初は、主に高齢者などの身の回りのお世話を行う仕事という位置づけでした。しかし、そこから時代に合わせた2007年の改正によって高齢者の自立をサポートする存在へと変化しました。少子高齢化により、介護を必要とする高齢者が増えている中、介護福祉士の需要も増え続けています。介護福祉士は、時代の介護に対するニーズや流れによって生まれた資格で必然的だったのです。

 

介護福祉士は国家資格

福祉関係の国家資格者はソーシャルワーカーと呼ばれていますが、その種類もいろいろあります。たとえば高齢者の介護を行う「介護福祉士」、社会で困窮している方にアドバイスや援助を行う「社会福祉士」、精神疾患を患っている方を支援する「精神保健福祉士」などがあります。

この中でも、高齢者に対する介護は家庭で家族が行う、または特別養護老人ホームで働く福祉寮母という専門職の方が行っていましたが、人々のライフスタイルが変わったことでそのままでは介護に対応できなくなってきたのです。

介護が重要であることが世の中に認識されはじめ、国家資格である専門職が必要となりました。そこで、先ほども紹介した1987年に「社会福祉士および介護福祉士法」が制定され、介護福祉士が新たな資格として誕生したのです。

そして、制定された社会福祉士および介護福祉士法では、身体または精神の障害があることによって日常生活に支障がある方に対し、状況に応じた介護や介護に関する指導を行う資格が介護福祉士とされ、本日までの間で介護者のニーズに合わせて変化しているのです。

 

歴史から考えても介護福祉士のニーズは高まり続ける

高齢者数が増えれば介護福祉士に求められる役割も変化してきます。介護福祉士も、資格ができた当初は高齢者の身の回りのお世話がメインだったのですが、現在は生活全体にかかわりながら介護を必要とする本人、そしてその家族が自立することを促す立ち位置へと変わっています。

2007年には法律の改正により、社会福祉士・介護福祉士は、社会福祉や介護を取り巻く環境変化によって業務内容の変化に適応することが求められ、相談・援助・介護などに関する知識・技能の向上に努めなければならないとされました。

すでに介護サービスを充実させてきた北欧各国のように、日本でも高齢者が健康に安心して生活できるようなシステムが構築されるようになってきています。その時、介護福祉士に求められることは変わる可能性がありますが、いずれにしても今後ニーズが高まる資格であることは間違いないといえます。

 

まとめ

今回は、「介護」や「介護福祉士」の歴史からわかる今後の将来についてご説明しました。

是非、介護の今だけではなく、歴史で見ることによって将来のことを考えてみるのはいかがでしょうか。

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