コラム

介護施設で高齢者に対して行う声かけで重要なこととは?

介護施設で高齢者に対して行う声かけ、そして話し方は十分注意が必要です。

 

介護を必要とする高齢者の自立を支えることを基本とし、すべて介護スタッフがサポートしてしまえばできることまでできなくなってしまいます。

 

親切すぎることは不親切になることもあるため、うまく声をかけながら自分でできることは自らが行ってもらうことが必要と認識しておきましょう。

 

介護施設で必要なサポートと声かけの方法

手指の動きが鈍くなっているため、口に食べ物を運ぶ途中でこぼしてしまいがちな高齢者がいたら…。介護スタッフが高齢者の口まで食べ物を運んであげることをいきなり行わず、まずはユニバーサルデザインのお皿やスプーンを使い、自分で食べることを見守ってみましょう。

 

ボタンを自分で留めることができなければ、介護スタッフがすぐに留めてあげるのではなく、まずはボタンではなくマジックテープに変えるなど着替えを自分で行う状況を作ってあげることが必要です。

 

自分で何ができるのか、できないことは何なのか、介護を必要とする高齢者をしっかり観察し知ることが必要となります。

 

声かけの際にも、高齢者に命令口調で話しかけることや相手の言葉を否定すること、決めつけや押し付けといった態度は厳禁です。

 

 

介護施設で重要となる高齢者への声かけ

介護施設で介護サービスを利用する方への声かけは、相手が認知症や視覚障がいなど状況により対応を変える必要があります。

 

認知症の方に行う声かけの方法

認知症であることで、数分前のことを思い出せなくなっていることもあるでしょうし、物や人の名前がすぐに出てこないこともあるでしょう。

 

症状が進み中等度の場合には、人を疑ったり妄想やせん妄がおこったり、さらに重度になれば介護されることを拒否したり会話しなくなったりという場合も見られます。

 

脳が委縮することにより記憶障害が起きることが原因と考えられていますが、それにより常に不安な状態に包まれています。

 

そのため安心してもらうためにも、笑顔でゆっくりとした口調で声かけを行うようにしましょう。

 

安心してもらうためにも、手を握ったりさすったりというスキンシップも取り入れてみることが必要です。

 

視覚の障がいがある方への声かけ

視覚に障がいがある方にとって、情報の受け取りは耳からの言葉です。

 

そのためいきなり声をかけたり話しかけたりするのではなく、まずは話しかけようとするこちらの存在を確認してもらうことが必要となります。

 

視覚での情報がない状態で突然声をかけてしまうと驚かせることになるので、正面を向いて気配を感じとってもらうようにしてください。さらに指示語は使わず、具体的な名詞や言葉で説明することが大切です。

 

介護を必要とする高齢者に対する話し方の基本

対面での会話なら、相手の表情や態度を確認しながら話をすすめることができます。しかし電話での対応の場合、会話の内容は同じでも相手によって対応が悪いと感じることもあれば、とてもよい対応だと感じてしまうこともあります。これは音の強弱・短長・抑揚などが人それぞれ異なるからです。

 

そのため言葉のトーンを意識しながら、相手の気持ちに寄り添えるような言葉を選び会話するようにしましょう。その際、表情に留意することも大切といえます。

 

音の強弱・短長・高揚が発する言葉や表情と伴っていなければ、相手に気持ちを理解してもらえているとは感じてもらえません。

 

そこで高齢者と会話をする前に、まずは相手のことを知ることが必要です。相手のことを知りたいなら、自分のことを先に伝えましょう。

 

何気ない普段の会話から始まり、共通する部分を見つけることができたら、人生の先輩である高齢の方に自分の身の上の話を聞いてもらうのも方法の1つです。

 

もし話をした高齢者に共感してもらえる部分があれば、きっと高齢者からも自らのことを話してもらえるでしょう。介護での会話は、このような相互の理解が必要不可欠といえます。

 

これまで家族のもとで生活していた高齢者が、他人にお世話をしてもらいながら、いろいろな高齢者のいる施設で暮らすことになるのです。

 

お世話をしてくれる介護スタッフが優しい人で、自分のことを理解してくれる人がよいと思うのは高齢者もその家族も同じこと。介護を必要とし、介護施設で生活する高齢者は、そのような期待と不安を大きく抱えています。

 

介護施設において介護スタッフが信頼してもらうためには、介護の技術を高めるだけでなく、気持ちに寄り添いながら不安を解消してくれる人間性も必要なのです。

 

介護現場は人手不足といわれており、介護用ロボットなど導入されることも増えてくるでしょう。しかし気持ちに寄り添うケアはロボットにはできません。心のこもった声や言葉をかけることができるのは人だけであると認識しておき、安心して介護施設で過ごしてもらえるような介護サービスやケアを提供していくようにしましょう。

 

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